2013年12月3日火曜日

「英国は中国の欧州最強の支持者」:相当恥ずかしいキャメロンの熱心な自己卑下

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●2日、英紙ガーディアンによると、中国を訪問中のキャメロン英首相は「英国は中国の欧州最強の支持者になる」と述べた。資料写真。


レコードチャイナ 配信日時:2013年12月2日 18時46分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79948&type=

訪中のキャメロン英首相、「英国は中国の欧州最強の支持者になる」―英紙

2013年12月2日、英紙ガーディアンによると、中国を訪問中のキャメロン英首相は
 「英国は中国の欧州最強の支持者になる」
と述べた。

 キャメロン首相は12月2~4日の日程で訪中し、中国の指導者と会談を行う。
 出発の際、キャメロン首相は
 「英国は中国の欧州最強の支持者となり、中国とEUが新しい自由貿易協定(FTA)を締結できるよう働きかけたい
とした。

 キャメロン首相は中国誌に寄稿した際、
 「西側諸国で、英国のように中国に市場を開放しようと考えている国はほかにどこにもない。
 中国とG8、G20、EUの間で貿易を展開していくことを望んでいる。
 英国は互いの理解と尊重を基礎に中国と対話を行い、共通の利益を確保したい」
としている。

 また、キャメロン首相は中国とEUのFTAは英国に18億ポンド(約3000億円)の収入をもたらすとした上で、
 「中国のモデルチェンジは英国経済に大きな影響をもたらす。
 2012年、中国は世界一の貿易大国になり、
 2015年には世界最大の輸入国となる。
 将来的には中国は世界最大の経済体になるだろう
とした。

 また、
 「中国とEUの貿易投資関係を深化させる上で、英国は特別な優位性を持っている。
 最近、中国とEUは投資問題について協議を行い、中国も絶えず経済改革を行っている。
 両者は長期的で全面的なFTAが結べることを期待している」
としている。



JB Press 2013.12.03(火)  Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39333

中国に取り入る英国、得られるものはごくわずか
(2013年12月2日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)


●デビッド・キャメロン英首相は訪中を前に、中国のマイクロブログ「新浪微博」でもデビューを果たしたという〔AFPBB News〕

英国のキャメロン首相、訪中を前に「微博」デビュー

 北京駐在のアジアや欧州諸国の上級外交官数人の言葉を借りれば、
 英国は中国の指導部の歓心を再び買おうとして
 「店を売り」
 「降伏し」
 「完全に服従した」。

 中国政府に取り入るためには、自ら大抵どんなこともいとわずやってきた各国政府の代表者らの言葉には、ほのかな偽善以上のものが漂っている。

 しかし、デビッド・キャメロン首相が2日、ほぼ3年ぶりの公式訪問のために北京に到着する時、英国は大半の国と同様に、自己主張を強める中国との対処に苦しんでいると見られるのは避けられないだろう。

 英国の外交官らは、人権問題やチベット問題についての英国の姿勢に変化はないと主張するが、欧州の外交筋や人権団体は、英国政府はこの1年で、これらの問題の優先順位を明らかに下げたと語っている。
 それにより英国が何を得たのかは明らかではない。

■ダライ・ラマとの会談で不興を買い、冷え込んだ外交関係

 英国は2012年5月、キャメロン首相とニック・クレッグ副首相がロンドン訪問中のチベットの精神的指導者ダライ・ラマと面談した後に、外交的な凍結状態に陥った。

 中国はノーベル賞を受賞したダライ・ラマのことを、チベット独立に偏執する「僧衣をまとった狼」と罵倒している。
 外国首脳とダライ・ラマとの公式会談はすべて、中国を分裂させようとする西側の陰謀の一環と見なされる。

 他の欧州諸国は、英国の指導者らはダライ・ラマとの面談の取り扱いを誤り、その後、中国政府をなだめようとして、あまりに拙速に譲歩したと見ている。

 キャメロン首相が今年、下院でチベット独立に反対する英国の姿勢を強調した時は、その決断が直ちに英中関係の雪解けをもたらさず、英国は弱く見えた。
 また、年末までに公式訪問をアレンジしようとする働きかけは、あまりに熱心過ぎるように見えた。

 ダライ・ラマのロンドン訪問後、英中間の貿易や投資には影響を受けていないように見える。
 このことは、英国政府が必死になり過ぎているとの印象を強める一方だった。

 英国の対中輸出は過去5年間で倍増し、159億ポンドに達した。
 昨年は、5月のダライ・ラマとの面談の後でさえ、英国は香港、米国、カザフスタンに次ぐ、中国の4番目の対外投資先となった。
 2011年は8位、2010年は21位だった。

 欧州の外交筋いわく、英国の欧州懐疑主義のせいで、ダライ・ラマとの面会のような問題について中国に対処する時に、英国が他の欧州諸国と統一した立場を取るのが難しくなっているという。
 英国はその結果、欧州連合(EU)内の亀裂や対立につけ込むことに長けている中国からの圧力を受けやすい立場に置かれる。

 ここには、自由民主主義の政治システムが外交政策を持つようになって以来ずっと存在してきた大きな疑問もある。
 権威主義的な政権に対して普遍的価値について説くことは、何かの役に立つのか
という疑問だ。

 中国人の目からすると、アヘン戦争、植民地主義、「屈辱の100年」の責めを負う英国が、北京にやって来て人権について説教することは、どこか、かすかに滑稽な感がある。
 ロンドンのボリス・ジョンソン市長は10月に訪中した際、彼独特の言い回しで 
 「私は会合の場に足を踏み入れて、『やあ、諸君、自由の調子はどうだい?』なんてことは言わない」
と述べた。

 英国の経済界は中国の巨大市場に潜む潜在的なチャンスを見て、英国の説教が実際にどれだけ役に立つのか自問している。

 「ダライ・ラマの権利を擁護することで、中国の新指導部の目に映る相対的な序列で英国がフランスなどの下に置かれるようなら、それは大きな過ちであり、英国にとって深刻な問題だ」。
 西側のある投資家は今週、本紙(フィナンシャル・タイムズ)にこう語った。

■普遍的価値の擁護を放棄したら、誰の敬意も得られない

 これに対する答えは、決まっている。
 市場アクセスの拡大や政治関係の改善を願って普遍的価値の擁護を放棄することは、中国の指導者からであれ誰からであれ、敬意を得ようとする手段としては、さらに効果が薄いやり方だ。

 また、中国にこのような問題を提起するのに及び腰になっているように見えるのは、英国だけではない。
 相手に外交的、経済的な苦痛を負わせる北京の意思と能力を考慮すれば、年老いたダライ・ラマが存命中にもう2度と欧州首脳との会談を許されないことも十分考えられる。

By Jamil Anderlini in Beijing
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レコードチャイナ 配信日時:2013年12月3日 16時52分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79987&type=0

キャメロン英首相訪中、歓迎ムード高まらず
=昨年のチベット仏教指導者との面会が尾を引く―中国紙


●3日、環球時報は、中国訪問中のキャメロン英首相が昨年、チベット仏教指導者と面会したことが尾を引いて「歓迎ムードは高まりにくい」と伝えた。資料写真。

 2013年12月3日、環球時報は、中国訪問中のキャメロン英首相が昨年、チベット仏教指導者と面会したことが尾を引いて「歓迎ムードは高まりにくい」と伝えた。
 以下はその概要。

 英国のキャメロン首相は2日、中国での訪問日程を開始した。
 昨年5月にチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世と面会したことで中国との関係は冷えきったが、今回の訪中で多少の回復が見られたことになる。
 この1年余り、中国はドイツやフランスとの交流が活発で、キャメロン政権は危機感を募らせたようだ。

 英、仏、独3カ国は、ダライ・ラマ問題について順番に中国を挑発する「暗黙の了解」があるようだ。
 ある1カ国がダライ・ラマと面会すると、他の2カ国と中国の関係が良化する。
 別の1カ国がダライ・ラマと面会した場合も同様だ。
 3カ国が同時に中国と良好な関係を保つこともあるが、それは極めて短いものだ。

 同じ2日、日本を訪れた英国海軍のザンベラス参謀長は、小野寺五典防衛相と会談し、中国が東シナ海上空に防空識別圏を設定したことについて、日本を支持する考えを表明した。
 こうしたことから、中国国内では、キャメロン首相の対中関係改善に向けた「本気度」に疑いの声が上がっている。
 中国政府はもちろん同首相を礼遇するが、中国国民は昨年の行動を忘れてはいない。
 ネット上では歓迎には程遠い声が上がっている。

 キャメロン政権は、もともと英国に好感を抱いている中国の人々に無様な一面を見せてしまった。
 中国の欧州外交において、英国は「替えが効く」存在であり、今や「大国」でもない。
 観光や留学に適した、サッカーの強豪クラブを有する国というイメージだ。
 かつては怒りに任せて英国をそう呼ぶことがあったが、今では多くの中国人が共通して持つイメージとなっている。
 最後になったが、われわれ中国人はキャメロン首相の訪中が愉快なものであることを願っている。



レコードチャイナ 配信日時:2013年12月7日 20時11分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=80171&type=0

キャメロン英首相が必死の親中派アピール、ごまかされてはならない―香港メディア

 2013年12月5日、中国新聞網は記事
 「香港メディア:訪中のキャメロン英首相の親中国パフォーマンス、中国は冷静にならなければならない」
を掲載した。

 2日から4日にかけ中国を訪問したキャメロン英首相だが、驚くばかりの親中国アピールを繰り広げた。
 訪中前には中国のSNSに自らのアカウントを開設し中国人に直接メッセージを送ったほか、ヴィクトリア&アルバート博物館の中国絵画展を鑑賞するなど事前のウォームアップも万全。
 中国訪問の際は高速鉄道に乗りたいとアピールしたほか、成都市では火鍋を食べるパフォーマンスも見せた。

 4日付香港紙・明報は、英国の状況を考えればキャメロン首相のパフォーマンスも驚くにはあたらないと指摘した。
 産業革命発祥の地・英国だが近年は製造業の停滞が深刻化。
 この10年近くは低成長に苦しんでいる。
 こうした中、中国の投資、年10万人以上の中国人留学生、中国人の不動産購入は極めて重要だ。

 だがキャメロン首相の親中国アピールに安心するわけにはいかない。
 英国は米国の忠実な同盟国であると同時に、時には欧州連合(EU)とも歩調を合わせる。
 だがこうした八方美人は長期にわたる盟友ととして信頼し難いものだ。

 例えば中国の防空識別圏の問題にしても、古い盟友・米国に従うのか、それとも英中関係の改善を優先するのかはまだ見えない。
 キャメロンの火鍋パフォーマンスにごまかされないよう、注意する必要がある。



JB Press 2013.12.09(月)  Financial Times
 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39394

やってはならない対中外交中国にへつらう英国政府、
東シナ海での緊張も人権問題も無視
(2013年12月6日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

「大英帝国の略奪品返却を」、英首相に 中国ネットユーザー

 英国のデビッド・キャメロン首相は今月初めに訪中した際、これ以上ないほどの低姿勢を見せた。
 同胞の英国人にとって、首相の熱心な自己卑下は、そう、恥ずかしかった。

 そうした首相の態度は何も変えなかった。
 キャメロン首相が帰国の途に就く前、
 中国の国営メディアは英国のことを、
 観光客と学生が一時的に興味を持つだけのつまらない遺物
と表現していた。

 今回の訪中がもっと大きな目的に役立ったかもしれないという意味で言えば、それは逆に、高尚さと重商主義と追従が入り混じった態度――しばしば中国の台頭に対する欧州の反応を描写する態度――の甚だ不快な例を示した。

 経済問題の泥沼にはまり込んだ欧州大陸は、世界第2位の経済大国にもっと多くのものを売り込もうと躍起になっている。
 だが、この目的を、より大きな欧州の価値体系と利益を守ることと、どう折り合いをつければいいのか?

■東シナ海の緊張をよそに、英国企業の売り込みに奔走

 キャメロン首相の訪中は、日本の施政下にある尖閣諸島(中国名・釣魚島)上空の空域を支配しようとする中国政府の試みを受け、東シナ海の緊張が危険なほどエスカレートしたタイミングと重なった。
 中国が最近、広大な防空識別圏(ADIZ)の設定を宣言したことは、中国が尖閣諸島を日本の支配から奪い取るよう設計された歯車がまたカチリと回ったことを意味する。

 英国は国連安全保障理事会の常任理事国であるにもかかわらず、この地域で紛争が起きるリスクを大きく高めた問題について、どうやら何も言うことがなかったようだ。

 英国政府はいくらか不平をこぼした後で中国政府の一方的な行動を非難する欧州連合(EU)の共同声明を承認したが、キャメロン首相は、この問題が北京に同行した100人余りの英国企業経営者のセールストークを弱めることがあってはならないと決意していた。

 同様にキャメロン首相は、中国側の要人たちを人権の話題に引き込むことも渋ったようで、同行のジャーナリストの1人が李克強首相との報道機関向けイベントへの出席を禁じられた時も、それを黙認した。

 昨年、キャメロン首相がチベットの精神的指導者ダライ・ラマと会談した後、中国政府は両国間のハイレベルの接触を凍結していた。
 何が何でも今回の訪中を台無しにするわけにはいかなかったのだ。

 東シナ海での軍事的誤算といった深刻な問題について、中国の習近平国家主席と話をする役目は、キャメロン首相が中国を出発した時に中国入りしたジョー・バイデン米副大統領に委ねられた。

 バイデン副大統領は表向きは、緊張を高めたことで中国を非難する一方、日本が早計な対応を講じるのを抑えた。
 だが、米国政府は、ADIZの発表が日本への挑発であるのを同じくらい、西太平洋での米国の支配力への挑戦であることを十分承知しているはずだ。

 中国への重商主義的なアプローチを追求しながら、戦争と平和に関する厄介な問題を米国に委ねているのは、欧州諸国の中で英国だけではない。

■難題は米国に委ね、重商主義に走る欧州諸国

 李首相が今年ベルリンを訪問し、アンゲラ・メルケル首相と会談した際、メルケル首相は、中国からの太陽光パネルの輸入に関税を課そうとするEUの計画を非難し、中国のご機嫌を取ろうとした。
 ドイツの当局者らは今でも、この出来事に触れられると、恥ずかしそうな顔をする。
 フランスも、北京を訪問する時は、地政学よりもビジネスを優先させる傾向がある。

 キャメロン首相の訪中を際立たせたのは、甚だしい媚びへつらいだった。
 ウィリアム・ヘイグ外相は、もっとバランスの取れたアプローチを模索していた。
 つまり、中国を尊重するが、自国の意見を表明し、その価値感を推進する英国の権利を尊重する自尊心を持つやり方だ。

 だが、ヘイグ外相は、習主席との謁見を望むキャメロン首相のあまりの熱心さと、減少する英国の輸出を刺激したいというジョージ・オズボーン財務相の望みに打ち負かされた。

 興味深いのは、各国政府が心の中では、自分たちがこのような戦術からほとんど何も、あるいは何一つ得られないことを知っていることだ。

 ドイツ企業が中国で好業績を上げているのは、中国が買いたいものをたくさん作っているからだ。
 キャメロン首相は、自身の訪中の結果として、数十億ポンド相当の商談が成立したと話している。
 実際には、英国企業が成功するのは、適正な価格で提供できるモノを持っている場合に限られる。

 筆者が先日、ある欧州高官が話すのを聞いたように、
 中国政府には弱さに報いる習慣はないのだ。

 欧州各国政府は今、欧州大陸に対する中国の分割統治のアプローチに加担する羽目になっている。
 中国政府はドイツやフランスに利益をもたらすと約束することで英国やイタリアを不安にさせ、比較的小さな東欧諸国が結束して別の対話を始めるよう促している。

 理論上は、EUは中国と「戦略的パートナーシップ」を結んでいる。
 だが、それは抜け殻だ。
 中国政府が何より望んでいないのは、結束したEUだ。
 そのような欧州なら先手を打てるかもしれない。

 キャメロン首相の訪中は、自国企業のためにマーケティング部長の役目を果たすことを除けば、欧州各国政府には東アジアでできることはあまりないという見方を裏付けた。
 欧州諸国には、この地域で立派な実績を残すような外交力も軍事力もない。
 大仕事は米国に任せるのが一番いい、というわけだ。

■キャメロン首相、外国訪問は外相に任せよ

 こうしたやり方は、中国の台頭の性格を形成するうえで、欧州の基本的な利益――戦略的および商業的利益――を無視している。
 一方の道を進めば、強引な中国が隣国や米国との避けられない衝突に向かう。
 もう一方の道ならば、中国が大国として認められることを決意しながらも、協調的な安全保障体制に同意することが自国の利益に最もかなうと認めるようになる。

 欧州には、この選択について言うべきことがあるはずだ。
 欧州は依然として世界で最も豊かで最も強力な地域の1つだ。
 また、欧州には、台頭する大国が現状を乱す時に何が起こり得るのかを知る辛い経験がたくさんある。
 キャメロン首相は今後、世界各国を訪れる仕事を外相に任せるのが一番いいだろう。

By Philip Stephens
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サーチナニュース 2013/12/09(月) 11:57
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=1209&f=politics_1209_004.shtml

中国で論評「英国の二面外交を警戒せよ。
裏では反中・日本支持」

  広東の地元紙「広州日報」は2日付で、「英国の二面外交を警戒せよ」と題する論評記事を掲載した。
 キャメロン首相が史上最大規模とされる経済代表団を率いて2-4日に訪中した際には、自らを「西側で最も力強い中国の支持者」と言って喜ばせたが、英国は実は米国とともに中国に批判的と論じた。
 同記事は新華社系のニュースサイトなども転載した。

  まず、来日した英国海軍のザンベラス参謀長が2日、小野寺五典防衛相と会談した際に、中国が宣言した防空識別圏について、
 「英国と日本は大切なパートナーだ。
 この課題は国際法と対話で解決すべきだと思っている」
と、日本を支持する考えを明らかにしたことを問題視した。

  記事は、専門家の意見を紹介する形で、尖閣諸島の問題は英国にとって直接の利害関係がないと説明した上で
 「英国は米国の確固たる盟友。立場は米国側に偏向」、
 「英国を含め西側国家の対中国政策には二面性がある」
と主張。

  英国首相の北京における発言と、海軍参謀長の東京における発言は偶然ではなく、
 「英国のアジア策略を考え抜いたもの」
との見方を示した。
 中国との経済関係構築と、日本との協力のバランスを取るためのもので
 「英国が歴史的にも得意とする国際謀略」
として不快感を示した。

  記事はさらに、
 「英国が香港に手を出し、中日(日中)外交を丸め込もうとする陰謀の包囲網にあって、中国はスコットランド独立に関係して反撃してはどうか」
などと極論も示した。

  中国の立場については
 「金持ちになってから、外交上の“金づる”との色彩がますます濃くなっている。
 しかしこのところ、結果は良好ではない」
と主張。
 「対米外交もそう。
 対仏外交もそう。
 指導者が中国を訪問した際にはうまい話をして人を飽きさせない。
 中国メディアと庶民を喜ばせる」、
 「ところが帰国したとたんに豹変だ。
 反中国、中国制裁の措置・政策を次々に出す」
などと強い不満を示した。

  記事は最後を
 「中国人が単細胞なのか、西側国家が狡猾なのか?」
との疑問で締めくくった。




【参考】

「WEDGE Infinity」 2013年12月05日(Thu) 
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3409

プーチンに脅され、市場に裏切られ凍える英国
この冬、暖房できないエネルギー貧困層が増える?

 ウクライナが親ロシア路線に舵を切り、デモ隊が政府機関を占拠するなど国内が混乱している。
 リトアニア・ビリニュスで開催されたEUサミットの会場で11月29日に調印される予定だった欧州連合(EU)との連合協定調印を先送りする決断を行ったためだ。
 EUが条件とした服役中のティモシェンコ前首相のドイツの病院への移送をウクライナ国会が拒否したこと、隣国ウクライナのEUへの接近を嫌うロシア・プーチン大統領からの圧力が、先送りの大きな理由として挙げられている。

 プーチン大統領からの圧力には当然だが、ウクライナ向け天然ガス供給の中断も含まれていた。
  天然ガスの供給中断が実行されれば、ウクライナだけではなく、EU全域に影響を及ぼす。
 その中にはロシアから最も離れている国の一つ、英国も含まれている。

 その英国では、天然ガスと電気料金の上昇により、この冬、560万世帯のエネルギー価格の支払いが世帯収入の10%以上になり、エネルギー貧困層に陥ると報道されている。
 10月には、EU27カ国のなかで、英国のエネルギー貧困率がエストニアに次ぐ第2位になり、かなりの数の英国民が食料を取るか暖房を取るかの選択を迫られると報道された。

■プーチンに脅されるウクライナ

 プーチン大統領が天然ガス供給を材料に交渉するのは、今回が初めてではない。
 2006年と09年1月の厳冬期にウクライナとの天然ガスの価格交渉が難航したこととガス抜き取り疑惑を理由に、ロシアはウクライナ向け天然ガス供給数量を大きく削減した。
 当時欧州向け供給の80%から90%はウクライナ経由のパイプラインで供給されていたので、欧州諸国にも大きな影響を与え、09年の中断の際には、ブルガリアなど6カ国向けのロシアからの供給が全て途絶するなど18カ国が影響を受けた。

 06年のガス紛争の影響を受けた欧州諸国のうちドイツ、フランス、イタリアなどの西側諸国は、09年には天然ガスの備蓄をある程度行っていたが、ポーランド、ブルガリアなど東側諸国の多くは備蓄を持っていなかった。
 その状態は今も変わりない。
 厳冬期に天然ガスの供給が途絶するのは大きな恐怖だ。

 09年の供給途絶の後、ウクライナ政府はロシア・ガスプロムからの購入価格を大きく上げることに合意した。
 いま、その価格は、ガスプロムのドイツ向け価格1000立方メートル当たり400ドルを上回る430ドルだ。
 ウクライナは「適正価格は250ドル」と主張しているが、プーチン大統領が提示した価格引き下げの条件は、ウクライナ国内のパイプラインをガスプロムに譲渡するか、あるいはロシアが主導する関税同盟にウクライナが参加するかだ。
 どちらもウクライナが受け入れられる条件ではなかった。

 11月29日のEU・ウクライナの連合協定調印予定が決まってからは、プーチン大統領は、サンクトペテルブルク市に勤務していた際の部下であったガスプロムのミレル社長経由で、さらに圧力を強めた。
 ミレル社長は、「ウクライナのガス料金支払いは遅れており、10月1日現在で5億5000ポンドが未払いになっている」と主張し、直ちに支払うことを要求した。
 ロシアの意図がウクライナのEUへの接近阻止にあるのは明らかだった。
 一方、ウクライナは、料金値上げ以降の過去3年間で200億ドル以上の過払いがあると反論し、契約の見直しがなければ、ロシアからのガス購入を中断すると10月10日に発表した。

 これに対し、10月末にはガスプロムは、未払い問題が解決しない限り前払いが必要とウクライナに要求する。
 ウクライナは11月11日にロシアからのガス購入を中止し、ハンガリー、ポーランドなどが輸入しているガスを迂回購入する契約を結ぶが、結局4日後にロシアからのガス購入が再開された。
 その6日後には、ウクライナ政府がEUとの連合協定調印の準備作業を中断し、ロシアの関税同盟に関する対話を再開すると発表することになり、国内は大きな混乱に陥った。

■ロシアへの依存度を下げたい欧州

 天然ガスは、欧州の一次エネルギー消費の約25%を占めている。
 天然ガスの60%以上は輸入だが、最大の輸出国はロシアであり、輸出シェアは30%以上だ
 ロシアのシェアは2000年には約50%あったので、徐々に落ちてきているが、それでも
 EUは天然ガス消費量の約20%をロシアに依存している
ことになる。
 石油も石炭もロシアへの輸入依存度は約30%とかなり高い。
 欧州が再エネ導入に熱心な一つの理由はロシア依存度の引き下げにある。

 ロシアからの天然ガス購入が多い国は、ドイツ、イタリア、ポーランド、英国、フランスだ。
 英国の輸入統計では、ロシアからの購入数量はゼロだが、ガスプロムの発表では英国輸入量の17%がロシアからだ。
 北海からの生産が減少している英国では、輸入数量が生産数量を上回るようになっており、ロシア産天然ガスは全消費量の9%を占めている。
 英、ロシアの統計の違いは、大陸経由の天然ガスにはスワップ契約があるために、英国の統計ではロシア産として認識されず、大陸の国からの輸入と表示されるためだろう。

 仮に、ガスプロムがウクライナとの紛争を理由に欧州向けの供給を中断すれば、英国も物理的な影響を受けることになるが、もっと大きな問題は天然ガスの価格が上昇することだ。
 英国ではガス料金・電気料金の値上がりが大きな社会問題になっている。

■この冬、英国民の3分の2は十分な暖房ができない

 1990年からエネルギー市場の自由化を行った英国では、ガス・電力供給を行っている大手6社がこの冬のエネルギー価格の値上げを発表しており、ガス・電力料金が4%から10%値上がりすることになる。
 04年に552ポンドだった家庭の年間の平均エネルギー価格は13年12月には1312ポンド(約22万円)に達すると見込まれている。
 約2.4倍だが、この間の平均所得の伸びは20%しかなかった。
 所得に占めるエネルギー価格の比率は大きく上昇した。

 最近行われた世論調査では、節約するために32%の人が間違いなく電気を消すか暖房を停めると回答し、35%の人が多分そうすると回答した。
 実に国民の3分の2が節約のために、節電、節エネを行うことになる。英国第2位のスーパーマーケット、アスダが5500人の母親を対象に実施した調査では、もう少し厳しい結果が出ている。
 若年層の母親の4分の3、全体の3分の2が、必要な暖房を行うことができないと回答している。

 英国のスーパーマーケットによると、エネルギー価格の上昇に備え食料品への支出も減少している。
 暖房を取るか食料を取るかの選択を多くの人が迫られていると報道されている。

 こんななかで、BBC放送のニュース番組に出演したデービー・エネルギー気候変動大臣が
 「私は家でもジャンパーを着ている。皆着ているのでは」
とコメントしために物議を醸すことになった。
 コメントについて聞かれたキャメロン首相の報道官が
 「個人の行動に関し口を挟むつもりはないが、考慮してもよいかもしれないアドバイス」
と述べたために、野党労働党のミルバンド党首から
 「エネルギー価格上昇に対する政権の回答は、『家でもフード付きのセーターを着ろ』だが、この回答はキャメロン政権が懸命に働く労働者の側に立っていないことを示すものだ」
と非難されることになった。

■公共性を優先するなら、自由化すべきではなかった

 エネルギー価格の値上げ発表を受け、ミルバンド党首は15年の総選挙で労働党が勝利すれば20カ月間エネルギー価格を凍結するとの公約を早々と発表した。
 世論調査では50%以上が凍結案を支持した。
 議会の答弁に立ったキャメロン首相は「国際市場をコントロールできないのに価格を凍結するというのはペテン師の政策だ」と述べ、適切な表現ではないとたしなめられることになったが、キャメロン首相は、ミルバンド党首が労働党政権のエネルギー大臣時代に導入した環境関連の費用を削減することにより、エネルギー価格を引き下げると発表した。

 この引き下げの対象の環境関連費用はエネルギー価格のうち112ポンドを占めているが、ミルバンド党首は、このうち60%は現連立政権が導入したものだと首相を非難した。
 また、連立相手の自由民主党からも、「保守党が環境政策に冷淡なことは分かっているが、政策のパニック的な逆戻りは許されない」との声が上がった。
 政権は112ポンドのうち約50ポンドを削減する意向であり、詳細は12月4日に発表予定のオズボーン財務大臣の秋の定例演説で触れられる予定だ。

 さらにキャメロン首相は、エネルギー企業が顧客に提示する価格は最大でも4種類に限り、さらに各家庭に最安値になる料金を提示するように要請する意向だ。
 これに対し、競争の制限であり、自由化に反するとの批判があり、さらに、スマートメーター、電気自動車などと組み合わせた料金プランの提示が困難になり、新技術導入を阻害するとの声も出ている。

 エネルギー企業に対し、デービー大臣は
 「顧客は、株主に高収益をもたらす金のなる木ではない。公共サービスを提供する企業では、業界は公に奉仕しなければならない」
と述べているが、自由化した市場では企業は株主へのリターンも追及する必要がある。
 もし公共性が優先されるというならば、エネルギー市場を自由化すべきではなかったということだろう。
 英国電力自由化市場の問題については
 「電力自由化で『新たな総括原価主義』が必要に?温暖化対策進める英国のジレンマ」
もお読み戴ければ幸甚です。

■もともとエネルギー価格は安かった英国

 真の問題は…
 エネルギー価格上昇に悩む英国だが、欧州主要国のガス料金、電力料金と比較すると英国の料金は相対的に安い。
 また、最近の値上がり率も他欧州主要国と変わりはない。
 図‐1と図‐2が示す通りだ。
 議会が11月に発行したエネルギー価格に関するレポートでも、自由化以降、ガス・電力料金共に下落したが、2000年から04年頃を底に値上がりしていると指摘し、エネルギー貧困層も96年の650万世帯が03年には200万世帯に減少していると述べている。

●図-1


●図-2

 しかし、自由化以降、エネルギー価格が値下がりしていた最大の理由は、北海からの天然ガス生産量が増えたことだ。
 この天然ガスにより、価格が高かった国内炭使用の発電所の燃料切り替えも可能になり、電気料金も下がった。
 しかし、天然ガス生産量は、図‐3の通り、2000年にピークを打ち減少を続けている。
 英国のエネルギー価格が上昇に転じた最大の理由は自国産エネルギー生産量の減少だ。


●図-3

 安価なエネルギー価格に慣れていた国民には急激な値上がりは堪えたに違いない。
 さらに、英国には問題がある。
 家屋の断熱効果が極めて悪いことだ。
 英国では家屋の新築は年間18万戸しかなく、断熱効果の悪い家屋が多く使用されている。
 このために、エネルギー価格の総額の支払いが多くなり、1人当たりGDPが同レベルの欧州諸国よりエネルギー貧困率が数倍高くなる。
 政府が削減を計画している環境対策コストのなかには断熱工事への補助が含まれており、エネルギー価格引き下げ策が、中長期的にはエネルギー価格負担額の上昇を招く可能性がある。

 さらに、英国の問題は所得の格差拡大だ。
 米国CIAのデータによると、英国のジニ係数(所得の格差を表す係数で0から1の間で表され、数字が多いほど所得に偏りがある)は05年の0.34が08/09年では0.4になり、貧富の差が拡大している。
 ドイツの0.27(06年)、フランスの0.33(08年)、イタリアの0.32(11年)、日本の0.38(07年)より高い数字だ。

■英国の現状は自由化の行き着いた姿、日本への示唆

 エネルギー市場を自由化すれば、企業には供給義務はなくなり、自由に価格設定が可能になる。
 様々な要因があるにせよ、英国の現状は自由化の行き着いた姿だ。
 これは消費者にとっては望ましいことではない。
 特に政府の価格引き下げの策の対象になっていない中小企業にとっては、エネルギー価格上昇は大きな問題だろう。
 先行している各国の事情をよく調査し、分析したうえで、日本も自由化、エネルギー市場改革を行う必要があることは言うまでもない。

 山本隆三 (常葉大学経営学部教授)